税務・会計情報

厚生年金基金の廃止の方針について

第四回目は労務情報を「社会保険労務士 大城雄大」が担当致します。これから社会保険・労働保険関連のタイムリ-な情報をお届けして参ります。
 
 先月末、厚生労働省が、厚生年金基金の廃止方針を決めたというニュースがありました。

 厚生労働省は9月28日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受けて設置した特別対策本部(本部長・辻泰弘副大臣)の会合を開いた。会合では厚生年金の一部を国に代わって運用する企業年金「厚生年金基金」制度について「一定の経過期間をおいて廃止する方針」(辻副大臣)を決めた。
 運用に苦しむ基金のさらなる財政悪化を防ぐとともに、再建のめどが立たない基金の解散を促すのが狙い。10月中に改革原案を策定し、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会での議論を経て、年内に最終案をまとめる。来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。廃止時期は、代行部分の積立金不足(代行割れ)問題の解決や他の企業年金制度への移行準備などが必要なため、10年程度先になる見通し。
 辻副大臣は会合後の記者会見で、厚年基金制度について「時代的な使命が終わった制度だ」と指摘。代行割れ基金は「解散の方向で取り組んでいく」との考えを示した。代行割れ基金が解散した場合、厚生年金は支給されるものの、企業年金は給付されなくなる。
 会合では、代行割れ基金が解散する際の対策として、国へ返還しなければならない積立金を減額する方針も決まった。また、複数の企業が加入する基金について、解散時の国への積立金返還に関し連帯責任を負う制度も廃止する。
 厚年基金制度の存廃をめぐっては、自民党が存続容認の姿勢を示しているほか、多くの基金が存続を求めているため、廃止を決めれば反発は必至とみられる。

とあります。

厚生年金基金は、3階建ての建物に例えられる年金の3階にあたる企業年金のひとつで(1階は国民年金、2階は厚生年金です)、記事の「厚生年金の一部を国に代わって運用する」といのが代行で、本来は国に収める保険料の一部を独自に運用しますが、高利で運用できたかつては年金をより増やすことができましたが、近年では増やすどころか厚生年金の部分の積立金不足が生じてしまう「代行割れ」が起きています。 
 投資顧問による年金消失問題というのは、積立金不足を回復しようとする基金などが、高金利の運用を唱える投資顧問会社に引っかかってしまい、代行割れがより深刻なものとなってしまった年金消失問題です。
 ここまで簡単に説明を書きましたが、「代行」でかつては美味しい思いをしておきながら、「代行割れ」になっても不足分を全部返さなくていいですよ、なんてことになるのはどうも納得できません。
 とは言え、積み立て不足が解消される目処もないなら、傷がより深くなって取り返しのつかないことになる前に解決すべきだろうとも考えます。

 現況では廃止が決まったわけではなく、廃止する方針が決まっただけですから、今後には廃止する方針の廃止が決まるということもありえそうで、まだまだどうなるか分かりません。年金制度については大小様々な改正等がありますので常に注視していきたいと思います。

その他につきましては後日お知らせできたらと考えております。

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