税務・会計情報

相続税関係の改正

 相続税法が改正されたことにより、今後相続の申告が増えることが予想されます。何人かのお客様からは改正後の相続税の試算を依頼されました。今回の税務会計情報では、相続税の基本的な改正項目について確認したいと思います。


1.相続税の基礎控除・税率構造の見直し
(1)改正の背景
相続税の基礎控除はバブル期の地価上昇に合わせて引上げられてきましたが、現在の地価はピーク時の平成3年と比べ3分の1から4分の1にまで落ち込んでいる状況にあることから、バブル前の控除水準に戻すことにしました。
 また、税率構造も、所得税と同様に最高税率を引き上げるなどの見直しが行われることとされました。

(2)改正の内容
 基礎控除については、定額控除額を3000万円(改正前5000万円)、法定相続人比例控除額を600万円(改正前1000万円)に引き下げ、「3000万円+600万円×法定相続人」が基礎控除額となります。
 税率構造については、所得税と同様に最高税率を55%に引き上げるとともに、2億円超3億円以下の区分に45%の税率を新たに設けるなど、税率構造を改正前の6段階から8段階へと細分化しています。

(3)相続税額の試算
                【相続人が配偶者と子1人の場合】
(課税価格の合計額) (改正前)  (改正後)  (増税額)
5000万円      0万円     40万円    40万円
6000万円      0万円     90万円    90万円
7000万円      0万円    160万円   160万円
8000万円     50万円    235万円   185万円
9000万円    100万円    310万円   210万円
1億円        175万円    385万円   210万円
1億5千万円   600万円    920万円   320万円
2億円       1250万円   1670万円  420万円
2億5千万円   2000万円   2460万円   460万円
3億円       2900万円   3460万円   560万円
5億円       6900万円   7605万円   705万円

(4)適用期日
 平成27年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

2.小規模宅地等の減額特例の見直し

(1)改正の内容
①居住用宅地の適用対象面積の見直し
 居住用宅地に係る特例の適用対象面積の上限が、330㎡(改正前240㎡)に拡充されました。

②居住用と事業用の宅地併用の場合の限度面積の拡充
 特例の対象として選択する宅地として居住用と事業用の宅地がある場合、改正前は、特例による減額は限定併用で居住用と事業を合わせて400㎡が適用対象上限面積となっていました。
 今回の改正では、居住用と事業用のそれぞれの上限面積まで合算して適用できる完全併用措置が講じられました。具体的には、今回の改正で拡充された居住用宅地の上限面積330㎡と、事業用宅地の上限面積400㎡を合わせて最大730㎡までが適用対象面積となります。なお、貸付事業用は除きます。

(2)適用期日
 平成27年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

▲PAGETOP