税務・会計情報

税務調査(通勤手当の非課税(所得税等)限度額)

※ このページの掲載は、平成25年10月に行いました。
「交通用具(自転車、自動車等)を使用する場合」の「非課税限度額」が改正されました。
  改正の内容は「マイカー・自転車通勤者の通勤手当(改正)」のページをご参照ください。


10月に入り、8日には「二十四節気(にじゅうしせっき)」で晩秋にあたる「寒露(かんろ)」
を向かえますが、まだまだ暑い日があり、「スーパークールビズ」を有効に活用させていただいています「税理士 中嶋昌啓」が担当いたします。

 昨年、「青島税理士」が「税務調査当たり年」と記載しているのを横目で(大変だねと)見ていたら、今年は我が身になってしまいました。

 税務上の中小企業(原則、資本金・出資金の額が1億円以下等)は、法人税の税務調査を、「税務署」の職員が行いますが、その際は、同時に「消費税」「源泉所得税」「印紙税」の調査も行われます。(税務上の大企業は、「法人税」「消費税」の調査を原則「国税局」の職員が行います。)

 今回は、「源泉所得税」で、確認(調査)する確率の一番高い、通勤手当の『非課税(所得税、復興特別所得税)・・・以下「非課税」』限度額についてご説明します。

 「通勤手当を支給」している場合、「通勤手当=非課税」と思われている事業者(担当者)等の方もいるのではないでしょうか。
通勤手当には、非課税限度額が定められていて、限度額以下であれば全額非課税ですが、限度額を超えている場合は、超えている金額が「所得税の対象」になりますので、源泉徴収する際には課税所得に加えなければなりません。

 通勤手当(通常の給与に加算して支給されるものに限ります。)や通勤用定期乗車券(これらに類する手当や乗車券を含みます。)の、「非課税限度額」は、①交通機関(電車、バス等)を利用する場合と、②交通用具(自転車、自動車等)を使用する場合に応じ、それぞれ1か月当たり次の金額になります。
(所得税法第9条第1項第五号、所得税法施行令第20条の2)。

① 交通機関を利用する場合
  1か月あたりの「合理的な運賃等の額」が非課税限度額であり、最高限度が100,000円になります。
  「合理的な運賃等の額」とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃又は料金の額をいいます。この「合理的な運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の特別急行料金は含まれますが、グリーン料金は含まれません(所得税基本通達9-6の3)
  
 【具体的な判断例等】
 (1) 電車やバスなどの交通機関を利用する場合の「1か月間の通勤定期券」などの金額
 (2) 現金等に代わりに、「通勤用定期券」を支給している場合も上記と同様の限度額

② 交通用具(自転車、自動車等)を使用する場合
  片道の通勤距離により限度額が異なります。
  <片道の通勤距離>    <非課税限度額>
  2㎞未満               0円
  2㎞以上10㎞未満     4,100円
  10㎞以上15㎞未満    6,500円
  15㎞以上25㎞未満   11,300円
  25㎞以上35㎞未満   16,300円
  35㎞以上45㎞未満   20,900円
  45㎞以上         24,500円

 【具体的な判断例等】
 (1) 通勤距離は、実際(合理的等)の走行距離(直線距離ではありません)
 (2) 一方通行等により、往路と復路の通勤距離が違う場合は、合計距離の2分の1

それでは、最後に上記以外の項目について記載しますが、従業員等の通勤手当の非課税限度額については、税務調査に控え再確認してみてはいかがでしょうか。

③ その他の項目
【具体的な判断例等】
(1)  交通機関及び交通用具の両方を利用(使用)する場合
    例えば、「家」から「鉄道駅」まで自転車を使用し、電車で会社の最寄駅まで、駅から会社までは徒歩で通勤している場合・・・「家」から「鉄道駅」が片道3㎞(非課税限度額 4,100円)、鉄道の1か月定期代が10,000円(=非課税限度額)の場合、その人の非課税限度額は、「4,100+10,000円=14,100」となります(最高限度が100,000円)

 (2) 自動車を使用している人に、有料道路代を加算して通勤手当として支給している場合      
   例えば、「家」から「会社」まで片道20㎞で、有料道路代金 500円(片道)で稼働日数22日分の有料高速代(ETCカード、通勤割引50%で計算した金額・・・11,000円)を加算して支給している場合、その人の非課税限度額は、「11,300+11,000円=22,300」となります(最高限度が100,000円)
   
※ 有料道路代を支給する場合の要件として、合理的(通勤時間の短縮等)であるかのほか、実際にその人が、有料道路を使用しているかなどが問われますので、注意してください(「実費負担だから非課税」という根本的な考えがありますので、有料道路代の支給を受けた人が、有料道路を利用していない場合等、受給者の手元に金銭が残るようなら、その分は所得税等の課税対象になります。)

 (3) 徒歩で通勤した場合
    例えば、片道の通勤距離が2㎞以上ある場合でも、非課税限度額は「0円」です。

 (4) 常勤でない人等の非課税限度額
    非常勤や月の途中での入退社、パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても、月を単位にして計算します。(日数案分はしません)

 (5) 自動車通勤の人の駐車場代を、会社等が借り上げし負担している場合
    例えば、会社等の近くに会社等が駐車場を借り上げし、その費用の全部または一部を会社が負担している場合、会社が負担した金額は通勤手当に含まれますので、支給している通勤手当と会社が負担した駐車場代の合計額が、非課税限度額を超えている場合は、超えている金額が所得税等の課税対象になります。


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