税務・会計情報

上場株式等の譲渡損益の確定申告について

確定申告も残すところ1週間となりました。ここまで約1ヶ月、かなりのペースで進んできたと思いますが、終わりに近づくにつれ、ホッとするというよりもむしろ淋しさすら感じるのは、すでに忙しさでどうかなってしまったのかもしれません。納税者の皆様におかれましては、申告漏れのないようにくれぐれもご注意ください。

さて、申告がまだお済でない方に少しでも参考になることをと思い振り返ってみると、今年、会計事務所内でよく話に出たことの1つに上場株式等の譲渡及び配当に係る申告があります。現在、上場株式等の譲渡は、納税者の選択により、一般口座又は特定口座のいずれかとなっています。この申告については下記のようになっています。

  一般口座 譲渡益なし・・申告不要(注)
       譲渡益あり・・申告要
  特定口座 譲渡益なし・・申告不要(注)
       譲渡益あり・・源泉徴収なし・・申告要
              源泉徴収あり・・申告不要(注)

    注 いずれの場合も申告不要ですが、他の口座での譲渡損益と相殺する場合や上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要があります。

また、上場株式等の配当については、平成21年以降上場株式等の譲渡損失との通算及び繰越控除が認められております(申告分離制度)。一方で、他の所得と総合して課税することも選択できます。いずれの方法を適用するかは納税者の選択によりますが、支払う所得税の大小のみならず、扶養控除の適用、国民健康保険、医療費の1割負担等その選択により様々な負担が変化します。納税者によりどの選択がベストな選択かを見極める必要がありますが、複雑な仕組みになっておりますのでご注意ください。

さて、話は変わりますが、昨年の税制大綱によりこの3月末で所得税の取り扱いが変わりそうなものの一つにゴルフ会員権があります。
税制大綱には、「譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。(注)上記の改正は、平成26 年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用する。」と記載されています。
したがって、今まで、ゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡損失は他の所得と通算できましたが、平成26年4月以降の譲渡により生じた譲渡損失は通算することができなくなりそうです。ゴルフ会員権の譲渡損失は多額になることがありますが、少しでも損失が和らぐように選択していただけたらと思います。

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