税務・会計情報

研究開発税制について

ゴールデンウィークも終わり、いよいよ3月決算法人の確定申告時期に突入します。
一般的に、日本の企業は3月決算が多いといわれていますが、私たちの会計事務所でも他の月に比べ4~5倍!?申告件数が多いと思います。
日本では、官公庁が4月1日~3月31日を一年度としているため、企業においても会計年度を合わせたと言われています。
今回の税務会計情報では、研究開発税制の改正について確認したいと思います。

【1.概要】
試験研究費係る税額控除制度は、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認める制度です。

【2.試験研究費の額とは】
 この制度の対象となる試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。

【3.改正背景】
平成25年6月に閣議決定された日本再興戦略で掲げられた「民間研究開発投資を今後3年以内に対GDP比で世界第1位に復活する」という目標を達成するためには、今後3年間で研究開発費を大幅に増加させる必要があることから、制度の改正が行われました。

【4.現状】
 この制度(総額型)の税額控除限度額は 「損金の額に算入される研究開発費の額 × 控除割合」
 法人税相当額の20%相当額を超える場合にはその20%相当額(平成25年4月1日~平成27年3月31日までの間に開始する事業年度においては30%相当額)

 なお、試験研究費が増加した場合等の税額控除制度(上乗せ措置)により平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、次の(1)又は(2)に該当する場合には、上記制度とは別枠で税額控除ができます。
(1)試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合
 →控除額(増加型) = 試験研究費の増加額×5%

(2)試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合
 →控除額(高水準型)= 売上高の10%を超える試験研究費の額×控除率

【5.改正内容】
①上乗せ措置を3年間延長
試験研究費の増加額に係る特別税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究に係る特別税額控除(高水準型)を選択適用できる制度について、適用期限が3年延長されました。

②増加型の拡充
増加型については、①増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%相当額を超え、かつ、②試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、試験研究費の額から比較試験研究費の額を控除した増加試験研究費の額に30%を乗じて計算した金額の税額控除できる措置に改組されました。

※比較試験研究費・・・適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度において損金に算入された試験研究費の平均

※基準試験研究費・・・適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において損金に算入された試験研究費の額のうち最も多い額

※平均売上金額 ・・・適用年度及び適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額

【4.改正適用期日】
 上記の改正は、平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。

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