税務・会計情報

簡易課税制度の見直し

梅雨の季節に入り、曇りや雨の日が多くなってきました。
今年は、エルニーニョの関係で梅雨が長くなるとの予想がありましたが、個人的には早く梅雨が明けてほしいです。
今回の税務会計情報では、消費税法の簡易課税制度について確認したいと思います。

【簡易課税制度 概要】
その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の届出書を事前に提出している事業者は、課税売上高に対する税額から一定割合(みなし仕入率)を乗じた税額を控除し消費税額を計算します。

課税売上高に対する税額 - (課税売上高に対する税額 × みなし仕入率) = 消費税額


※みなし仕入率
 ①卸売業(第一種事業)   90% ・・・購入した商品を性質を変更しないで、他の事業者に販売する事業

 ②小売業(第二種事業)   80% ・・・購入した商品を性質を変更しないで、消費者に販売する事業

 ③製造業等(第三種事業)  70% ・・・建設業、製造業、製造小売業、電気業、農業 等
                         (加工賃等の料金を受取って役務提供する事業は④に該当)

 ④その他事業(第四種事業) 60% ・・・飲食業、その他の事業
                          金融業及び保険業

 ⑤サービス業(第五種事業) 50% ・・・サービス業
                          不動産業

【改正内容】
金融業及び保険業を第四種事業(60%)→第五種事業(50%)へ
不動産事業は第五種事業(50%)→第六種事業(40%)へ引き下げられました。

【適用期日】
平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用されます。

【改正の背景】
平成元年の消費税導入とともに創設された当時は、卸売業を第一種事業として90%、それ以外の業種は第二種事業として80%のみなし仕入率となっていましたが、平成8年度改正により5区分となりました。
簡易課税制度は、中小事業者の事務負担への配慮から設けられている特例措置です。しかし、会計監査院の検査結果では、多くの事業は簡易課税による納税額が原則課税を適用した場合の納税額と比べて低額となっていることが判明し、いわゆる益税として問題視され制度の見直しが求められてきました。
また、財務省が行ったみなし仕入れ率に関する実態調査によると、金融業及び保険業と不動産事業では、みなし仕入れ率の水準が実際の仕入れ率を大幅に上回っている状況にあることが確認されました。このような結果も踏まえ、みなし仕入れ率の水準について見直しが行われることとなりました。

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