税務・会計情報

労使間紛争防止のポイント

 明日は土用の丑の日です。「う」のつく食べ物。鰻はもちろん、梅干し、うどん、瓜などを食べて、これからの夏本番の暑さに負けず、疲れ知らずといきましょう。

 私は日頃、労使間の紛争防止を第一に考えております。今回はアドバイスとしてよく申しあげる紛争防止のポイントについてお話ししたいと思います。

1.合意による解決を目指す
 言うまでもなく、紛争予防のうえで合意に勝るものはありません。
雇用契約終了、賃金減額、配置転換等、一方的に行うとトラブルとなる可能性が大きく、労働者にきちんと説明し、合意を得て行えば、まずトラブルになることはありません。

2.相手の立場に立って考える
 相手の立場に立って考えるというのは、こちらがこういうことを言ったら、相手はこうするだろう、こう考えるだろうと予測をするということです。
労働者には労働者の事情があり、使用者側のみの事情で一方的に実行しようとすると、トラブルのもとになります。
 例えば、退職勧奨をする場合、使用者側とすれば、適性を欠いている等労働者側に何らかの問題があるケ-スや、あるいは会社の業績が苦しいといった場合に、できれば労働者に退職してもらいたいと思うかもしれませんが、労働者側にすれば、退職=明日からの収入がなくなることであって、死活問題です。
 労働者にも様々な事情があり、例えば、対象者が独身者か既婚者か、子供が何人いるか、介護が必要な親を抱えているか、住宅ロ-ンの返済が残っているかといった事情は、対象者にとってみれば、退職勧奨を受け入れて退職するか否かを判断するに当たり、重要な事情になります。 
 相手の立場に立って相手の事情を理解すれば、次に相手がどのようなことを言ってくるか、どのような行動に出るか、ある程度予測できます。そうすれば、それに対するこちら側の次の対応も考えることができます。行き当たりばったりの対応では、自分の首が絞まって選択肢がなくなるだけです。

3.労働者に選択肢を与える
 労働者も選択肢が一つしかなければ、応じるか拒否するしかありませんが、労働者に選択肢を与えれば、労働者の希望に近いものがあれば妥協も得られやすくなりますし、自分が選んだ道ということで納得も得られやすいものです。一方的に使用者の考えを押し付けるのではなく、労働者にも選択してもらうことで、トラブルを防止することができます。

4.手続きを踏む
 どんな問題であれ、きちんと手順を踏んでいるかどうかは大事なことです。
具体的には、説明の機会を設け、労働者の納得が得られなかったり、十分に内容が理解できない場合は、再度説明したり質問に答えたり、丁寧に粘り強く対応することが必要です。
 就業規則の不利益変更、懲戒処分、整理解雇・・・様々な場面で手続きが妥当であることが要件となっています。裁判等になったときに手続きが問題になるというだけでなく、手続きを踏んでいればトラブルにならずに解決するということにつながります。

 いったん「労使紛争」になってしまうと労働者は勿論、会社も多大の時間的、金銭的犠牲を払わなければならず、場合によっては貴重な取引先に不快感を与え、これを失ってしまう可能性さえあります。ですから、「労使紛争」の未然防止がとても大切になります。使用者は感情論に陥らず、冷静にかつ誠実に話し合うことがなりより重要であることを強調しておきます。

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