税務・会計情報

平成27年度税制改正要望

先月、平成27年度税制改正に向け、各省庁が税制改正要望を取りまとめ公表しました。現段階では、要望であるため、そのまま改正されるかは定かではありませんが、各省庁が様々な事象に対して、税制面からをどんな施策を望んでいるかがわかります。

【経済産業省】国際競争力の向上
日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることとし、その一環として、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手する。そのため、来年度から法人実効税率の引下げを開始し、数年で20%台まで引き下げる。

法人実効税率引下げを法人税率引下げで行った場合の減収額(経済産業省試算)
①平成 26 年度予算ベース
実効税率1%当たり:約 4,200 億円
②直近5年度(平成 22 年度~平成 26 年度)ベース
実効税率1%当たり:約 3,500 億円~約 4,100 億円


【内閣府、金融庁】少子化対策のための税制
子・孫の結婚・妊娠・出産・育児を支援するための贈与を目的に設定する信託に係る贈与税の非課税措置等の創設

①信託の機能を活用し、結婚、妊娠、出産、育児に係る払出しを行う信託スキームを使って、子・孫へ贈与を行った場合について、贈与税の課税対象としないこととする。
②少子化対策に資する事業を行う公益法人等へ信託財産の一部を寄附する制度とする場合には、当該寄附相当額につき、贈与税非課税での払出しを可能とする。
③子育てに要する支出を所得税制上の控除の対象にする。


【経済産業省】課税の公平性への対応
印紙税は経済取引における契約書や領収書等に対して課せられる文書課税であるが、近年の電子取引の増大等を踏まえ、制度の根幹からあり方を検討し見直す。

①印紙税が創設された明治 6 年以降、経済実態の変化に伴い、金銭等の受取書については、中小企業の取引実務にも配慮して免税点(5 万円未満)が設けられている。他方、経済取引の数は莫大に増えており、印紙税に係る事務コストや税負担が、中小零細企業を始め、企業にとって無視できないコストとなっているとの指摘がある。
②また、電子取引などに対して印紙税は課税されないなど、取引手段の選択によって課税の公平性が阻害されているとの指摘もある。
③特に、小売・物販業等においては、近年、カード決済が増大してきており、印紙税が取引実態の変化に対応できていないとの指摘も強い。

上記はほんの一例ですが、各省庁が個別の事案を解決するために税制を活用していることがわかります。但し、減収分についての財源が確保されていないなど、とりあえず的な感は否めません。恒常的な税収不足の中、安定した・公平な課税が望まれます。

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