税務・会計情報

「地震保険料控除」額の計算方法等

 12月に入りました。
 平成26年も早いもので、あと1か月になりました・・・ということは、「年末調整」の時期です。
 今回は、「地震保険料控除」につきまして、「税理士 中嶋昌啓」が記載いたします。

「地震保険料控除」は、平成19年分から、それまでの「損害保険料控除」に変わってできた制度です。
 こちらも早いもので、今年で8年目になりますが、この「地震保険料控除」額の計算は、「地震保険」の支払額と、「旧長期損害保険(※)」の支払額で限度額(控除額)の計算を行いますので、両方の支払いがある場合には、ちょっと複雑になっていて、未だによく分からないという方も多いのではないでしょうか。

※「旧長期損害保険」とは
(1) 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
(2)満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約
(3)平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの


『実務的には、保険会社等が発行する、「地震保険料控除証明書」の「旧長期損害保険料」の欄に記載されている金額で計算します。』


それでは、限度額(控除額)の計算方法等を事例を交えて記載します。

① 「地震保険料の支払いのみ」の場合(限度額「5万円」)
   
   支払った保険料の全額が控除の対象になります(限度額の計算はありませんが、「5万円以上」支払っていても、控除額は「5万円」になります。)

 ② 「旧長期損害保険料の支払いのみ」の場合(限度額「1万5千円」)

   支払った保険料が
(1) 10,000円以下の場合・・・支払った保険料の全額が控除されます。
(2) 10,000円を超える場合・・・次の算式により、控除額を計算します。
 【支払った保険料×1/2+5,000円】(限度額「1万5千円」)

    (支払った金額が、「2万円以上」の場合、控除額は「1万5千円」になります。)

 ③ 『「①」「②」の両方の支払い』がある場合(限度額「5万円」)

   支払った保険料(契約)ごと、上記「①」「②」の計算を行い、その合計額が控除の対象になります(限度額「5万円」)。

  なお、「1つの契約(「地震保険料控除証明書」)」で、「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の両方の欄に金額の記載がある場合は、「①」「②」の両方の計算を行いどちらか「有利な(控除額の多い)方を選択」しますが、複数の地震(旧長期損害)保険契約をしている場合は、『有利≠金額が多い方(他の契約との関係)』の場合がありますので、ご注意ください(ここが、複雑(ややっこしい・・・方言?)ところです。)

  最後に、ほとんど、ないとは思いますが、上記の『有利≠金額が多い方(他の契約との関係)』の場合とは、『複数の「旧長期損害保険料」の支払』がある場合等ですが、「例」を1つ記載します。

 ※【例題】
地震保険等の契約・・・3本
(1)A社「地震保険のみ」で、支払保険料20,000円
(2)B社「旧長期損害保険のみ」で、支払保険料20,000円(地震保険料控除対象額15,000円)
(3)C社「両方に該当する保険」で「地震保険」の支払保険料が5,000円で「旧長期損害保険」の支払保険料が20,000円

【回答】
(1)A社分は「地震保険」ですので、地震保険料控除対象額は全額の20,000円になります。

(2)B社分は「旧長期損害保険」ですので、 地震保険料控除対象額は限度額の15,000円になります。

(3)C社分は「地震保険」の地震保険料控除対象額の5,000円を選択することになります。

C社分は「地震保険」と「旧長期損害保険」の両方ですので、まずは、各々の地震保険料控除対象額を計算し比較しますと、「地震保険」該当分は5,000円(支払保険料全額)で、「旧長期損害保険」該当分は15,000円(限度額)になり、「旧長期損害保険」を選択した方が有利に思いますが、この例題の場合、上記の(2)で「旧長期損害保険」の限度額に達していますので、(3)は「地震保険」を選択した方が有利になります。

したがって、この例題の「地震保険料控除額」は
(1)+(2)+(3)=20,000円+15,000円+5,000=40,000円になります。
((3)で「旧長期損害保険」を選択すると、35,000円になります。)

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