税務・会計情報

相続税の申告の状況について

昨年末に、平成25年分相続税の申告状況が国税庁より発表されました。平成27年1月より相続税が改正されているのは周知のとおりですが、改正後の相続税課税割合が6%ともいわれる中、平成25年分については4.3%と前年から0.1%の微増となりました。最近10年ほどは4%と前半での推移であるため、大きな変化がないものと思われますが、注目は、課税されている財産の変化です。

本資料によると、平成6年当時の課税状況は、相続財産総額158億円のうち、土地112億円、現金預金15億円と、相続財産に占める土地及び現預金のそれぞれの比率は、70.9%、9.4%となっていました。平成25年現在になると、相続財産総額125億円のうち、土地52億円、現金預金32億円と、相続財産に占める土地及び現預金のそれぞれの比率は、41.5%、26.0%となっています。

この結果からわかることは、バブル崩壊以降一貫して土地の実勢価額が下落してきたため、相続財産中の土地評価額が低下してきたこと、また、よく言われることですが、個人金融資産の6割超を占めるともいわれる「高齢者マネー」が数字上からも明らかであるということです。

しかし、この相続財産の状況は、相続税計算上は有利ではありません。一般的に流動性が高いものほど、相続税評価が高くなる傾向にありますので、現金預金の評価は当然価値に対して100%の評価となります。一方、土地については、その使用状況、形状等を反映し、評価減が行われます。つまり、現金預金を多く保有するということは、遺産分割及び税納付の観点からは行いやすい反面、納税額については相応の対策が必要ということです。

資料からもわかる通り、いわゆる「相続対策」は、多くの土地を保有する方が相続税を減少させるための対策であったことがわかります。よく行われてきたことですが、土地の相続税評価を下げる目的で、空き地に賃貸用アパート等を建設するといったこともそういった一つの相続税対策であったわけです。しかし、課税される財産の状況が、土地から現預金にシフトしてきていることにより、土地持つ方だけが相続対策をしなければいけない時代ではなくなってきているわけです。

そこで注目されるのは、やはり、現預金の贈与ということになるでしょう。既に、「住宅資金」、「教育資金」や「結婚・出産・育児」の為の一括贈与については、本HPでも何度か取り上げてきました。これらの制度には、上限が設けられているためその数字ばかりがクローズアップされると、そんな額の財産はないという話になりますが、上限に到達しない額であってもこれらの制度を使って、将来の相続税負担を軽くすることは十分に可能だと思います。まずは、ご自身の持つ財産の状況を把握するところから始めてみましょう!

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