税務・会計情報

ブラック社労士問題

 「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章をブログに公開していた愛知県の社会保険労務士について、愛知県社会保険労務士会は、信頼を失墜させたとして、3年間の会員権停止処分と退会を勧告することを決めました。
 同会の規定の中で、最も重い処分になります。会は社労士法に基づく法定団体で、退会した場合はその都道府県で社労士として活動できなくなります。
 この社労士は、「モンスタ-社員を解雇せよ!すご腕社労士の首切りブログ」と題するブログ(現在は削除)で「うつで休職を繰り返す社員」などを「モンスタ-社員」と独自に定義し、「モンスタ-社員・首切り支援」のサ-ビスを提供していました。昨年11月24日には、「社員をうつ病に罹患させる方法」という記事を掲載。Q&A形式で、「モンスタ-社員をなんとかうつ病にして会社から追放したいのですが、いい方法はないですか」の問いに対し、「適切合法なパワハラを行ってください」「万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」などとアドバイスしていました。
 このブログ記事に批判が殺到し、日本弁護士団に所属する弁護士から、このブログで社労士の信用や品位を害したとして、社労士法に基づき塩崎厚生労働大臣に懲戒を請求しました。全国社会保険労務会連合会は昨年12月25日、「社会保険労務士に対する国民の皆様からの信用を失墜させるものであり、到底容認できるものではない」と声明を発表しました。愛知県社労士会も同日、臨時会議を開き、処分を決定しました。
 会員権が停止になりますと、会の事業への参加ができなくなります。また、会は社労士法に基づく団体であり、退会した場合はその会が所在する都道府県で、社労士としては活動できなくなります。
 報道によりますと、この社労士は愛知県社労士会の聞き取りに対して、「世間をお騒がせしたのは申し訳ないと思っています。一部、筆が滑って過剰な表現もありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」などと話しており反省の色が全く見られなく、同じ職業人としてとても残念でなりません。
 今後は、社労士会で開催される倫理研修はもちろんのこと、研修、会議等あらゆる機会の中で、不適切な情報発信に注意し、あらためて職業倫理の徹底に取り組んでいき、国民の皆様からの信頼向上に一社労士として努めていく決意であります。

▲PAGETOP