税務・会計情報

確定申告の要否

先月から所得税の確定申告が始まりちょうど折り返し地点です。NISAによる個人投資の活発化やふるさと納税等により所得税の申告をされる方が増えたような気がします。今年の確定申告書の作成中、問い合わせや確認が多かった点をまとめてみます。

① 医療費の支払いが10万円以下なので控除対象にならない?
一般的には、10万円を超える医療費が控除対象と言われていますが、総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額を控除することができます。
また、扶養親族等に該当するかにかかわらず、生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。

② 株を売ったけど、マイナスなので申告の必要がない?
上場株式等の譲渡損失の金額については、翌年以後3年間にわたって株式等に係る譲渡所得等及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除できます。
この控除をするには、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税について確定申告書を提出するとともに、その後連続して確定申告書を提出する必要があります。したがって、マイナスでも申告を行わないと不利になる場合がありますのでご注意ください。

③ 退職金をもらったけど税金を引かれているので確定申告する必要はない?
退職金に関する税金は、源泉徴収だけで所得税及び復興特別所得税の課税関係が終了する分離課税方式を採用しているため、原則として確定申告をする必要はありません。但し、他の所得がない場合や、医療費控除等所得控除額が多くなる場合には、確定申告を行うことにより、退職金に係る源泉徴収税額が還付されることがあります。

④ ほんのちょっと副業収入がありますが申告する必要がありますか?
1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人が、確定申告を行う必要があります。逆を言えば、1か所からの給与以外の副業によって20万円を超える所得がなければ申告の必要がありません。ここでいう所得とは、収入から必要経費を差し引いたものですので、いくら収入が多くても、その収入を得るために要した経費を差し引いた利益が20万円を超えない場合は申告の必要がない場合があります。但し、医療費控除等の申告を行う場合には、その20万円以下の所得も併せて申告をする必要があります。

⑤ 非上場の会社から配当金をもらったんですが?
一回に支払を受けるべき配当等の金額が、10万円以下(配当の計算期間が1年の場合)である場合には、確定申告を要しませんが、その納税者の所得税率により、申告した方が有利な場合には申告することにより納付税額を減らすもしくは還付を受けることができます。また、所得税において確定申告不要を選択した場合においても、住民税申告においては、その配当額を加えて申告する必要があります。

上記のほかにも、確定申告をしなければならない場合や確定申告をすると税金が還付される場合などが多く存在します。法律に則って不利のない申告を行いましょう。

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