税務・会計情報

償却資産税(構築物)の対象か、固定資産税(家屋)の対象か。

法人や個人で事業をされている方は、毎年1月に償却資産税の申告をしていると思います。
建物附属設備勘定に計上されている固定資産は、家屋(固定資産税)の対象となるのか、償却資産税の構築物になるか区分が難しく、判断に迷うケースも多いと思います。
今回の税務会計情報では、この区分について考えたいと思います。

1.償却資産とは
償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されているもののうち、その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のものをいいます。地方税法第341条第4号

2.家屋(固定資産税)に含まれる附属設備の範囲
総務省が公表している固定資産評価基準のなかに、家屋として評価すべき建物附属設備の範囲が定められています。

第2章家屋第1節七 建築設備の評価 (家屋自己所有)
「家屋の所有者が所有する電気設備、ガス設備、給水設備、排水設備、衛生設備、冷暖房設備、空調設備、防災設備、運搬設備、清掃設備で、家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となって、家屋の効用を高めるものについては、家屋に含めて評価するものとする。」

建物附属設備が家屋に含まれるためには、2つの要件を満たす必要があります。
①家屋と構造上一体であるもの
②家屋の効用を高めるもの
①及び②が満たされている場合、建物附属設備は、償却資産税の対象ではなく、家屋(固定資産税)の対象となります。しかし、家屋の賃借人がこれら工事を行った場合には、償却資産税の対象となります。

3.「家屋と構造上一体」及び「家屋の効用を高める」の判断
自治省税務局資産評価室長通知に、上記2要件の解説があります。

①について「家屋の評価に含める建築設備は、当該家屋の特定の場所に固定されているものであること。すなわち取り外しが容易で、別の場所に自在に移動のできるものは含めいないものであること」
②について「「家屋の効用を高める」とは、当該建築設備を備えることによって、家屋自体の利便性が高まるものをいうものである。したがって、特性の生産又は業務の用に供されるものは、家屋の評価に含めないものであること。」

償却資産として申告すべきか、家屋の範囲に含まれるか非常にわかりやすい解説だと思います。
ただし、実際の申告の際には、お住いの市役所に問い合わせて頂く方が確実だと思われます。(各市の条例や内部指針等で多少手続きが変わることもあるようです。)

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