税務・会計情報

消費税増税と住宅取得

第三回目となる税務・会計情報は「税理士 山田知広」が担当致します。第三回目のテーマは「消費税増税と住宅取得」についてです。

8月10日、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が成立し、平成26年4月に8%、平成27年10月に10%へと引き上げられることが決定しました。第一生命経済研究所の試算では、夫婦のどちらかが働く子ども2人の標準世帯で、年収が500万~550万円だと、消費税率が8%になった段階で年間約7万、10%だと約12万円も現在より負担が増えます。また、年収が少ない世帯ほど消費税負担の割合が大きくなるとの試算もあります。

 今回の増税により、平成26年4月に8%、平成27年10月に10%へと税率が引き上げられますが、私たちの生活で一度に最も多額の消費税を納税するのは住宅の取得ではないでしょうか。

 ご存じのとおり、土地の取得は消費税が非課税です。つまり、消費税増税後であっても、土地取得にかかる消費税額が増加することはありません。

 しかし、建物建築による取得については、消費税が課税されることになっています。例えば、2,000万円の建物を建築した場合、5%であれば消費税は100万円です。ところが平成27年10月以降10%の時代に取得した場合には200万円の納税が必要です。そのため、駆け込み需要が想定され、今回の増税は大きなきっかけかもしれませんが、「一生に一度」の大きな買い物、消費税増税ばかりに左右されずゆっくり考えてみるのも一つの選択かもしれません。

 住宅取得における消費税増税のインパクトは甚大なため、特別措置が予定されています。通常は、完成引き渡しが行われた日の消費税率が適用されることになっていますが、住宅取得等に関しては、消費税率改定の日前6か月以前に締結された契約については、従前の消費税率を適用することになっています。例えば、平成25年9月30日より前に締結された契約に基づき建築された住宅が増税後の平成26年4月1日以降に完成引き渡しを受けた場合でも、適用される消費税率は5%となる予定です。

 また、地デジ化による補助金や自動車のエコカー減税等様々な措置が行われた後、需要が急激落ち込んだ場合には、各メーカーが値引き等の購買喚起策を講じるケースが多くみられます。元々、住宅需要と消費税率は無関係のものです。「一生に一度」の大きな買い物、私自身、後悔することのないようじっくりと考えたいものです。

 今回の消費税増税については、先述した低所得者ほど税負担割合が大きくなるいわゆる「逆進性」や、生活必需品に対する軽課税率を用いる「複数税率」等についてはその課題が先送りにされたままですが、それらについては次の機会に。
 

▲PAGETOP