税務・会計情報

交際費課税(Ⅱ)

暑い日が続いており、冷房が欠かせない生活になっていますが、体調管理には十二分に気を付けたいものです。
 
今回は、「税理士 中嶋昌啓」が交際費課税の改正点等について、記載いたします。
 
なお、「交際費課税」の詳細につきましては、昨年「青島税理士」が掲載していますので、ご参照ください。

1 制度の概要
 交際費課税は、法人が平成18年4 月1 日から平成26年3 月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないというものです(措法61の4 ①)。

 ただし、中小法人については、中小法人に係る定額控除額の特例として、その損金の額に算入しないこととする金額(以下「損金不算入額」といいます。)を、その交際費等の額のうち定額控除限度額に達するまでの金額の10%とその交際費等の額が定額控除限度額を超える場合におけるその超える部分の金額との合計額とする措置が講じられています。

(注1 ) 中小法人とは、その事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額等が1億円以下である法人をいい、大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等を除くこととされています(措法61の4 ①、措令37の4 )。

(注2 ) 大法人とは、次の法人をいいます(措法61の4 ①、法法4 の7 、66⑥二三、法令139の6 の2 )。
① 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人
② 相互会社(外国相互会社を含みます。)
③ 法人課税信託の受託法人

(注3 ) 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下「当事者間の完全支配の関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます(法法2 十二の七の六)。

(注4 ) 定額控除限度額は、600万円にその事業年度の月数を乗じて12で除して計算した金額とされており、この月数は、暦に従って計算し、1 月に満たない端数を生じたときは、1 月とすることとされています(措法61の4 ①一②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、概ね同様の措置が講じられていますが、定額控除限度額の計算を含む損金不算入額の計算は、連結グループ全体で行うこととされています(措法68の66)。


2  改正の趣旨及び背景
 「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が取りまとめられ(平成25年1 月11日閣議決定)、この「日本経済再生に向けた緊急経済対策」における具体的施策に、「成長による富の創出」を実現するための「中小企業・小規模事業者・農林水産業対策」として、「中小企業・小規模事業者の活力を引き出すため、新たなビジネスへのチャレンジの支援、経営改善・事業再生支援等を行う。また、「攻めの農林水産業」の展開を加速するため、新規就業支援、農林漁業の6 次産業化等に取り組む。」ことが掲げられており、このうち「中小企業・小規模事業者等への支援」の観点から、新たなビジネスへのチャレンジの支援、ものづくり支援、商店街の活性化等に向けた「中小企業の交際費課税の特例の拡充」を行うこととされたことを受けて、経済状況を踏まえた措置として、次の3 の改正が行われました。


3  改正の内容
 中小法人に係る定額控除額の特例について、次の改正が行われました。

(1) 定額控除限度額に達するまでの金額に係る損金不算入額の引下げ
 定額控除限度額に達するまでの金額に係る損金不算入額が、零(改正前:定額控除限度額に達するまでの金額の10%)に引き下げられました(措法61の4 ①)。

 すなわち、その交際費等の額のうち定額控除限度額に達するまでの金額については、その全額がその交際費等の額を支出する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できることとされました。

(2) 定額控除限度額の引上げ
 定額控除限度額が800万円(改正前:600万円)にその事業年度の月数を乗じて12で除して計算した金額に引き上げられました(措法61の4 ①一二)。

 すなわち、上記(1)及び(2)の改正によって、中小法人については、その事業年度において支出する交際費等の額が800万円にその事業年度の月数を乗じて12で除して計算した金額を超える場合におけるその超える部分の金額のみを損金不算入額とすることとされました。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われています(措法68の66①、措令39の95)。


4  適用関係
 上記3(1)及び(2)の改正は、法人の平成25年4 月1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則61)。

連結納税制度の場合は、連結法人の連結親法人事業年度が平成25年4月1 日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています
(改正法附則82)。

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