税務・会計情報

平成26年分路線価の公表

大都市圏を中心に地価の回復が鮮明になってきました。国税庁が7月1日に発表した2014年分の路線価では、アベノミクスと言われる金融緩和等の影響により、投資資金が集まる大都市圏を中心として今後も再開発が続くなどの理由で、リーマンショック前の2008年以来、6年ぶりに東京、大阪、愛知等でそろって上昇しました。

報道によると、東京五輪に向けて開発ラッシュが続く東京の上昇率は、前年比1.8%となり、全国平均は前年よりも0.7%下落していますが、震災復興事業が続く宮城県の2.4%を筆頭に、昨年よりも上昇した都道府県は2県から8都府県に増えました。

ここ静岡においては、全県平均で前年比△1.1%となっており、リーマンショック以降6年連続のマイナスとなりましたが、地点別にみると、下落率が縮小する地域、上昇に転じる地域も見られるなど、地価の下落に一定の歯止めがかかったと言えるのではないでしょうか。なお、静岡市主要地域では、下記のような動きとなっています。

        平成20年  平成22年  平成24年  平成26年 (円/㎡)
葵区紺屋町  650,000   610,000   610,000   600,000
駿河区南町  580,000   530,000   500,000   510,000

この路線価は、相続税や贈与税の計算基準として用いられています。すでにご案内のように平成27年1月からは、相続税の基礎控除が減らされ、最高税率も引き上げられることもあり、今回の路線価に注目が集まっていました。
(なお、相続税改正の内容については「相続税関係の改正」を参照ください。)

アベノミクスの効果、東京五輪までの開発需要等により、大都市圏を中心に地価の上昇がみられることは、いいことばかりではありません。相続税や贈与税の計算基準として路線価が用いられておりますので、地価が上昇すれば、相続税及び贈与税負担が大きくなることが予想されます。ある試算では、相続税の申告割合が2倍以上、大都市圏では4人に1人が申告対象になるというものもあります。

一方で、小規模宅地の特例が拡充されたり、適用条件が緩和されたりと必ずしも税金負担が大きくなる措置ばかりではありません。贈与税においても、教育資金の一括贈与が導入されていたり、直系尊属からの贈与について一定の条件で通常の贈与より低い税率となる場合があります。

つまり、将来の相続税負担を考えて、現在導入されている制度を有効に活用して相続税対策を行い始めた方と、自分は関係ないと何も対策をしなかった方との間に、大きな差が生まれだすということです。まずは、ご自身の持つ相続財産額を大まかに把握したうえで、適用される各種特例を有効に活用していくことが肝要だと思われます。

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