税務・会計情報

所得税及び復興特別所得税の「予定納税」及び「減額申請」について

 「日の入りが遅くなってきたな~」と思っていたら、早くも夏至を過ぎてしまい、年の半分が終わろうとしています。
 高校1年の6月30日に校長先生が全校集会で「明日から、1年の後半が始まります。目標をたて、何か1つでも良いことをしましょう。」と言いました。これは、生徒向けの言い回しですが、1つの区切りと考え、気合を入れ直したいと思っています、「税理士 中嶋昌啓」が今回の担当です。

 今回は、「所得税及び復興特別所得税の予定納税」の仕組み等と減額申請について記載いたします。


1 予定納税とは?

  その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上(※)である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付するという制度です。この制度を予定納税といいます。
  
※ 今年の予定納税基準額は、「前年分の申告納税額」等に「復興特別所得税(基準所得税額 × 2.1%)」を加算した金額になります。


2 予定納税基準額とは?(今回は、前年分の所得税について災害減免法の規定の適用を受けていない場合、及び特別農業所得者以外について説明します。)
  
予定納税基準額は、原則として「前年分の申告納税額」となりますが、臨時的な所得(※)がある場合は、「前年分の申告納税額」から「臨時的な所得の申告納税額」を「差し引いた金額」になります。
  
※ 臨時的な所得とは、「山林所得、退職所得等の分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得を除きます。)及び譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得の金額」をいいます。


3 予定納税の金額と納付は?
  
予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日(※)までに、第2期分として11月1日から11月30日(※)までに納めることになっています。

※ これらの期限が土曜日、日曜日又は祝日に当たるときは、その翌日が期限とみなされます。

4 予定納税の減額申請とは?
  その年の6月30日の状況で所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、7月15日(※)までに所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。
なお、7月15日までに予定納税額の減額申請書を提出しない場合等は、第1期分の予定納税額は納付しなければなりませんが、第2期分の予定納税額だけの減額申請は11月15日までできます。(この場合には、10月31日の状況において見積ります。)。

※ これらの期限が土曜日、日曜日又は祝日に当たるときは、その翌日が期限とみなされます。

また、減額申請が認められるのは、次のような方になります。
(1) 廃業や休業、失業をした方
(2) 業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる方
(3) 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
(4) 災害や盗難、横領により事業用以外の資産に損害を受けたなどのため雑損控除が受けられる場合
(5) 多額の医療費を支出したため、医療費控除が新たに受けられる場合か、その控除額が増加する場合
(6) 配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除が新たに受けられる場合か、これらの控除の対象となる人が増加した場合
(7) 社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除額が増加する場合や、一定の寄附金を支出したため寄附金控除が受けられる場合
(8) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除や政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、特定震災指定寄附金特別控除などが新たに受けられる場合か、これらの控除額が増加する場合

5 予定納税した金額は、確定申告で精算?

  予定納税の金額は、確定申告をすることにより精算されます。
  (年税額が、予定納税額より多い場合は、差額を納付。予定納税額より少ない場合は、差額が還付されます。)
  確定申告の必要がない方が予定納税額を納付している場合は、確定申告をすることになります。(確定申告をしなければ、予定納付額は還付されません。)

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